オイラーヘッドの式
ポンプの理論揚程として良く用いられるオイラーヘッドは以下の式で表されます。
(※以下、数式の描画に時間がかかる場合があります。)
(r[m], ω[rad/s], u,v,w[m/s], 太字はベクトル,添字1は内径, 2は外径)
[m]
(↑オイラーヘッド)
[Pa]
オイラーヘッドの式の導出
角運動量保存則を元にして、ポンプの内径・外径間を出入りする流体の角運動量の収支を考えます。
ポンプの流量Q[m3/s], 流体の密度ρ[kg/m3], 回転数ω[rad/s], とした時, 注目する体積での単位時間あたりの角運動量の変化T[N m]は、外径側の流出から内径側の流入を引いて
・・・(1)
( はの回転方向成分)
この角運動量の変化はポンプ壁面によって与えられるので、
T[N m]はポンプのトルクと釣り合うことになります。
ポンプのする仕事Tωは損失が無ければ、通過する流体の全エネルギーの増加ρQΔEと釣り合うので、全エネルギーを位置エネルギーに換算すると、
・・・(2)
(1)式にωを乗じて(2)式と比較すれば、
以上で、オイラーヘッドの式が示されました。
u,v,wの三角形は速度三角形と呼ばれていてターボ機械(回転機械)の分野では頻出する考え方です。
上記H[m]はオイラーヘッド、ポンプの理論揚程、理論水頭とか色々呼ばれていますが、英語でも Euler('s) head, Theoretical head あたりが使われている雰囲気ですね。以下はWikipediaの記載。
Euler's pump and turbine equation - Wikipedia
理論揚程を説明する際には、内径側で予旋回無しを仮定し、v1を半径方向のベクトルとする場合も多いと思います
この場合、u1・v1=0 なのでHはu2・v2の項だけで決定されます。
内径側の項が無くなっていますね。
絶対速度引く回転速度は相対速度。(呪文)
オイラーヘッドに限らずターボ機械全般の詳しい内容に興味がある方は、
以下書籍が参考になると思います。
入門編という副題が付きつつも、上記のオイラーヘッドも含め理論式が多く登場します。実務で触れる人には役に立つ内容が多いですが、やや難しいです。
内容に間違い等見つけた方は、御指摘頂けるとありがたいです。